ブログBlog
ブログ Blog
【歯科から考える鉄不足】妊婦さん・赤ちゃん・子どもに多い貧血とお口の健康の関係
歯科治療について
2025/07/10

最近、「なんだか疲れやすい」「生まれたばかりの子どもの発育が心配」と感じていませんか?
その原因、もしかすると「鉄不足(鉄欠乏)」かもしれません。
鉄は体の中で酸素を運ぶとても大切な栄養素です。妊婦さんにとっては赤ちゃんのためにも必要不可欠ですし、赤ちゃんや成長期の子どもにも、鉄は心と体の発達に欠かせません。実は、この鉄が足りていないと、お口の機能や歯の健康にも悪い影響が出ることがあるんです。
この記事では、「鉄不足と口腔機能の関係」について、歯科の視点からご紹介します。
⸻
妊婦さんの鉄不足と赤ちゃんへの影響
妊娠中の女性の体は、赤ちゃんに酸素や栄養を送るために、たくさんの鉄を必要とします。ところが、日本の妊婦さんの98%が鉄不足、さらに3〜4割が貧血状態だと言われています。とても多い数字ですよね。
妊婦さんが鉄不足だと、赤ちゃんにも酸素が届きにくくなり、体や脳の成長にブレーキがかかる可能性があります。
早産や低体重での出産のリスクが高まるだけでなく、赤ちゃんの将来的な発達や学習能力にも影響が出ることがわかってきています。
さらに、歯科の観点から見ると、赤ちゃんの口の周りの筋肉や舌の動き、飲み込みやすさなど、お口の成長にも関わる問題が出てくる可能性があるのです。
⸻
鉄不足が「お口の筋肉」にも影響する?
鉄は、「ヘモグロビン」という成分を作るのに必要な栄養素です。これは酸素を体のすみずみに届ける大事な役目をしています。
でも実はそれだけではありません。
鉄は「ミオグロビン」という、筋肉の中で酸素を受け取るたんぱく質の材料にもなります。つまり、鉄が不足すると筋肉が酸素をうまく使えなくなり、全身の筋力が落ちてしまうんです。
もちろんこれは、体の大きな筋肉だけでなく、口のまわりの筋肉や舌の筋肉も含まれます。その結果、こんなことが起こることがあります。
• 口を閉じる力が弱くなって、口が開いたままになる(口呼吸)
• 舌をうまく動かせず、飲み込みや発音がしづらくなる
• お口の発達が遅れ、食べる力や話す力に影響が出る
こうした状態を、歯科では「口腔機能発達不全症」と呼びます。
特に、ダウン症のお子さんや未熟児で生まれた赤ちゃんは、もともと筋力が弱く、ほとんどのケースで口呼吸が見られることがあります。
西宮北口の近く、中津浜デンタルクリニックこども矯正歯科の当院で行っている、口や舌の筋力を鍛える「MFT(口腔筋機能療法)」というトレーニングをする前に、筋力が低い原因が鉄不足などの栄養の問題にあるのでは?という視点を持つことも大切です。
⸻
赤ちゃんの鉄不足が脳とお口の発達に影響することも
赤ちゃんの頃、とくに胎児期から幼児期にかけての鉄不足は、体だけでなく脳の発達にも大きな影響を与えることがわかっています。
鉄が足りないことで、以下のような症状が出る可能性があるとされています。
• 夜ぐっすり眠れない、寝つきが悪い(睡眠のリズムが乱れる)
• ことばの発達がゆっくりしている(発語の遅れ)
• 集中力が続かない、注意が散漫
• 感情のコントロールがうまくいかない(イライラしやすい)
• 知能や学習の発達がゆっくり
こうした症状は、脳の中枢神経の働きに関係しており、飲み込む力(嚥下機能)の獲得や、話す・食べるといったお口の機能の発達にもつながってくる問題です。
このような影響は、一度起こると元に戻すのが難しい(不可逆的)とも言われていて、だからこそ妊娠中からの鉄の管理がとても大切なんです。
⸻
なぜ早めの対策が大切なの?
世界保健機関(WHO)や、母子健康を支援する団体(ラブテリ)なども、以下のように注意を呼びかけています。
「妊娠中と2歳未満の子どもの鉄欠乏を早めに見つけることは、とても重要です。
小さな頃に鉄が不足していると、脳の発達に深刻で取り返しのつかない影響が出ることがあります。」
これは将来的に、学習能力や学校での集中力、成績などにも悪い影響が出る可能性があるという意味です。
また、成人でも鉄不足になると、以下のような問題が起こることがあります。
• 疲れやすくなる
• 体力が落ちて仕事や家事がつらい
• 気分が落ち込みやすくなる
• 社会的な活動がしづらくなる
つまり、鉄不足は子どもから大人まで、心と体の元気に関わる大きなテーマなんです。
⸻
母乳だけで育つ赤ちゃんも鉄不足に?
赤ちゃんは生まれたときに、お母さんのおなかの中で「貯蔵鉄」という鉄をもっています。でもこれは生後6か月ごろには使い果たしてしまうと言われています。
特に母乳で育っている赤ちゃんは、母乳に含まれる鉄の量がとても少ないため、生後6か月を過ぎると貧血になるリスクが高まります。
沖縄県の調査では、9〜10か月の赤ちゃんのうち、
• 母乳だけの子ども:33%が貧血
• 混合(母乳+ミルク):10%が貧血
• 人工ミルクのみ:18%が貧血
という結果も出ています。
米国の小児学会では、生後4か月から鉄のサプリメントを取り入れることをすすめており、日本でも鉄分を強化したベビーフードやフォローアップミルクの活用が重要です。
鉄不足は、赤ちゃんの脳の発達や睡眠、集中力、言葉の発達にも影響を与える可能性があり、それが後々、食べる力やお口の動きにも影響することがあります。
⸻
子どもの鉄不足と食育のポイント
成長期の子どもたちは体が大きくなる分、鉄の消費量も増えます。そのため、特に赤身のお肉や魚、レバーなどの鉄を含む食材をしっかり食べることが大切です。
ですが、「お肉は嫌い」「魚は骨があるから食べない」など、鉄を摂るのが苦手な子もいますよね。
そんなときは、ビタミンCが豊富なグレープフルーツやブロッコリーと一緒に食べると、鉄の吸収率がアップします。
また、太るのが心配でおかずよりご飯をたくさん食べてしまう子には、主食を少し減らして、タンパク質を意識的に増やすようにしてみましょう。
⸻
牛乳の飲みすぎに注意!「牛乳貧血」とは?
「牛乳はカルシウムが多いから体に良い」と思って、たくさん飲ませていませんか?
実は、牛乳に含まれるカルシウムが鉄の吸収を邪魔してしまうことがあります。特に、食事代わりや水代わりに牛乳を飲んでいると、「牛乳貧血」と呼ばれる状態になってしまうことも。
また、牛乳を飲みすぎると「乳糖不耐症」や「アレルギー」でお腹の調子が悪くなり、栄養の吸収がうまくいかなくなることもあります。
虫歯予防の観点からも、牛乳の飲み方や量には少し注意が必要です。
⸻
お口の中に現れる鉄不足のサイン
鉄が足りていない人の中には、次のようなお口のトラブルが見られることがあります。
• 舌がヒリヒリしたり、赤くツルツルになる(舌炎)
• 口の端が切れてしまう(口角炎)
• 歯ぐきから血が出やすい
• 口の中の粘膜が弱く、口内炎ができやすい
こうした症状は歯科でもよく見られますが、原因が栄養不足や鉄欠乏であることに気づかれないまま過ごしてしまうケースも少なくありません。
気になる症状がある場合、歯科医院で相談してみてください。必要に応じて、血液検査や栄養指導を医科と連携して行うこともできます。
⸻
鉄不足と歯周病の意外な関係
大人の場合、鉄不足と「歯周病」にも深い関係があります。
鉄が足りなくなると、体の治す力(治癒力)が落ちてしまうため、歯ぐきから出血しやすくなります。
その血を栄養にして歯周病菌が増えてしまい、炎症がさらに悪化するという悪循環になります。
さらに重度の歯周病が進むと、炎症によって貧血がさらに悪化する「炎症性貧血」を引き起こすこともあります。
⸻
〜中津浜デンタルクリニック・こども矯正歯科でできること〜
栄養の視点からもお口の健康をサポート
門戸厄神駅から徒歩圏内の中津浜デンタルクリニック・こども矯正歯科の当院では、お口の中の診察だけでなく、栄養状態の聞き取り(栄養問診)や、食事・生活習慣に関するアドバイスも行っています。当院には栄養士も在籍しておりますので、専門的な視点からのサポートが可能です。
• MFT(口腔筋機能療法)をしているが効果が出にくい
• 発語が遅れている
• 口がいつも開いている
• 飲み込みがうまくできない
といった症状がある方には、栄養面からのサポートが効果的な場合があります。
口や舌の筋力が思うように育たない背景には、鉄分不足などの全身的な栄養の問題が関わっていることがあるからです。
西宮市にある中津浜デンタルクリニックこども矯正歯科には、お子さまの健やかな口腔機能の発達をサポートする「口育士」も在籍しています。お口の成長に関するお悩みやご相談も、どうぞ安心してお任せください。
予防のための受診もおすすめです。
中津浜デンタルクリニック・こども矯正歯科では【0歳からの予防歯科】【マタニティ歯科】【小児検診】にとても力を入れてます。
「今は特に困っていないから歯医者さんは必要ない」と思われるかもしれません。でも実は、症状が出る前にこそ、歯科に通うことが大切です。
お口のトラブルは、症状が出る頃にはすでに進行していることも多いため、予防や早期発見がとても重要です。また、栄養状態のチェックや生活習慣の見直しも、将来的なお口の健康を守る大切な一歩になります。
⸻
まずはお気軽にご相談ください。
当院では、お子さんから大人の方まで、一人ひとりの状態に合わせたサポートを行っています。栄養や口の発達が気になる方はもちろん、「なんとなく気になる」「最近ちょっと口の中の調子が…」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
あなたとご家族の「健口(けんこう)」を、私たちがしっかりサポートいたします。
その原因、もしかすると「鉄不足(鉄欠乏)」かもしれません。
鉄は体の中で酸素を運ぶとても大切な栄養素です。
この記事では、「鉄不足と口腔機能の関係」について、
⸻
妊婦さんの鉄不足と赤ちゃんへの影響
妊娠中の女性の体は、赤ちゃんに酸素や栄養を送るために、
妊婦さんが鉄不足だと、赤ちゃんにも酸素が届きにくくなり、
早産や低体重での出産のリスクが高まるだけでなく、
さらに、歯科の観点から見ると、
⸻
鉄不足が「お口の筋肉」にも影響する?
鉄は、「ヘモグロビン」という成分を作るのに必要な栄養素です。
でも実はそれだけではありません。
鉄は「ミオグロビン」という、
もちろんこれは、体の大きな筋肉だけでなく、
• 口を閉じる力が弱くなって、口が開いたままになる(口呼吸)
• 舌をうまく動かせず、飲み込みや発音がしづらくなる
• お口の発達が遅れ、食べる力や話す力に影響が出る
こうした状態を、歯科では「口腔機能発達不全症」と呼びます。
特に、ダウン症のお子さんや未熟児で生まれた赤ちゃんは、
西宮北口の近く、
⸻
赤ちゃんの鉄不足が脳とお口の発達に影響することも
赤ちゃんの頃、とくに胎児期から幼児期にかけての鉄不足は、
鉄が足りないことで、
• 夜ぐっすり眠れない、寝つきが悪い(睡眠のリズムが乱れる)
• ことばの発達がゆっくりしている(発語の遅れ)
• 集中力が続かない、注意が散漫
• 感情のコントロールがうまくいかない(イライラしやすい)
• 知能や学習の発達がゆっくり
こうした症状は、脳の中枢神経の働きに関係しており、
このような影響は、一度起こると元に戻すのが難しい(不可逆的)
⸻
なぜ早めの対策が大切なの?
世界保健機関(WHO)や、母子健康を支援する団体(ラブテリ)
「妊娠中と2歳未満の子どもの鉄欠乏を早めに見つけることは、
小さな頃に鉄が不足していると、
これは将来的に、学習能力や学校での集中力、
また、成人でも鉄不足になると、
• 疲れやすくなる
• 体力が落ちて仕事や家事がつらい
• 気分が落ち込みやすくなる
• 社会的な活動がしづらくなる
つまり、鉄不足は子どもから大人まで、
⸻
母乳だけで育つ赤ちゃんも鉄不足に?
赤ちゃんは生まれたときに、お母さんのおなかの中で「貯蔵鉄」
特に母乳で育っている赤ちゃんは、
沖縄県の調査では、9〜10か月の赤ちゃんのうち、
• 母乳だけの子ども:33%が貧血
• 混合(母乳+ミルク):10%が貧血
• 人工ミルクのみ:18%が貧血
という結果も出ています。
米国の小児学会では、
鉄不足は、赤ちゃんの脳の発達や睡眠、集中力、
⸻
子どもの鉄不足と食育のポイント
成長期の子どもたちは体が大きくなる分、鉄の消費量も増えます。
ですが、「お肉は嫌い」「魚は骨があるから食べない」など、
そんなときは、
また、
⸻
牛乳の飲みすぎに注意!「牛乳貧血」とは?
「牛乳はカルシウムが多いから体に良い」と思って、
実は、
また、牛乳を飲みすぎると「乳糖不耐症」や「アレルギー」
虫歯予防の観点からも、
⸻
お口の中に現れる鉄不足のサイン
鉄が足りていない人の中には、
• 舌がヒリヒリしたり、赤くツルツルになる(舌炎)
• 口の端が切れてしまう(口角炎)
• 歯ぐきから血が出やすい
• 口の中の粘膜が弱く、口内炎ができやすい
こうした症状は歯科でもよく見られますが、
気になる症状がある場合、歯科医院で相談してみてください。
⸻
鉄不足と歯周病の意外な関係
大人の場合、鉄不足と「歯周病」にも深い関係があります。
鉄が足りなくなると、体の治す力(治癒力)が落ちてしまうため、
その血を栄養にして歯周病菌が増えてしまい、
さらに重度の歯周病が進むと、
⸻
〜中津浜デンタルクリニック・こども矯正歯科でできること〜
栄養の視点からもお口の健康をサポート
門戸厄神駅から徒歩圏内の中津浜デンタルクリニック・
• MFT(口腔筋機能療法)をしているが効果が出にくい
• 発語が遅れている
• 口がいつも開いている
• 飲み込みがうまくできない
といった症状がある方には、
口や舌の筋力が思うように育たない背景には、
西宮市にある中津浜デンタルクリニックこども矯正歯科には、
予防のための受診もおすすめです。
中津浜デンタルクリニック・こども矯正歯科では【
「今は特に困っていないから歯医者さんは必要ない」
お口のトラブルは、
⸻
まずはお気軽にご相談ください。
当院では、お子さんから大人の方まで、
あなたとご家族の「健口(けんこう)」を、
あなたへのおすすめ記事
-
-
- 歯科治療について
- 顔の黄金比とマイオブレース
-
-
-
- 歯科治療について
- 間食と虫歯のリスクとフッ素
-
-
-
- 歯科治療について
- ナイトガードってどんな装置なの?
-