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【親知らずの抜歯が必要な理由と判断基準:あなたに最適な治療法を徹底解説】 生え方やリスクに応じた適切なケアで、将来の健康を守るために知っておきたいポイント
歯科治療について
2024/11/18
【親知らずの抜歯が必要な理由と判断基準:あなたに最適な治療法を徹底解説】
生え方やリスクに応じた適切なケアで、将来の健康を守るために知っておきたいポイント
親知らずの抜歯を検討する際、どうしても不安や迷いがつきものです。「抜いた方がいいのかな?」「抜かなくても問題ないのかな?」と悩む方が多いのは当然のことです。親知らずは他の歯とは異なり、特殊な生え方をする場合もあり、抜歯するかどうかはその人の親知らずの状態や周囲の歯との関係性などによってケースバイケースで決まります。
本記事では、親知らずを抜歯するべきか迷っている方に向けて、親知らずの生え方やそのリスク、抜歯が推奨されるケースや治療方針について詳しくお話しします。また、抜歯が決まった場合の治療計画や抜歯後のケアについても触れ、今後の口腔内の健康維持に役立つよう情報を提供いたします。
〈親知らずに対する最新歯科医療の考え方〉
近年の歯科医療では、できるだけ歯を抜かずに治療する「保存療法」が重視されています。歯は一度失うと二度と元には戻らないため、できる限り長く維持することが、口腔の健康や全身の健康にもつながると考えられているからです。しかし、親知らずに関しては保存することで口腔の健康や全身の健康に対し悪影響を及ぼすことがあるため、ケースによっては例外的に「抜歯」が推奨されることがあります。
親知らずとは?その特殊な役割とリスク
親知らずは「第三大臼歯」と呼ばれ、上下左右の顎の奥にそれぞれ1本ずつ計4本生えるはです。
昔、硬い木の実や生肉などを食べる時代では、強い力で奥歯で噛むために顎が発達していたため、親知らずは十分に生えるスペースがあり、他の歯がすり減る頃に親知らずが新しく生えてることでしっかり噛めるようにするという役割があったと言われています。
一般的には10代後半から20代前半にかけて生え始めますが、現代人の顎は小さくなってきている傾向があるため、親知らずが正常に生えるスペースが足りないことが多く、斜めに生えたり、歯茎に埋もれたままになることがよくあります。
また、先天性欠損と呼ばれる、生まれつき親知らずが4本揃ってないケースもみられます。
親知らずが他の歯と同様に真っ直ぐに生えていれば問題は少ないのですが、位置や生え方によっては周囲の歯や歯茎に悪影響を及ぼすことも少なくありません。
まっすぐに生えており、噛み合わせにも問題がない場合や、骨に完全に埋まっており、感染のリスクがない場合の親知らずは無理に抜く必要はありません。
しかし、親知らずについての調査結果を示す論文(※1)によると、
「歯根形成後に下顎において骨性完全埋伏するものはわずかに2.7%しかなく、その一方で、完全に萌出し咬合に参加できるケースはわずかに0.6%しか存在しなかった。」と記されています。
つまり、上記のような噛み合わせに問題なく生えてくる親知らずは全体の0.6%、歯が完成した後に完全に骨に埋まっていて感染のリスクがないのは全体の2.6%しかないため、ほとんどの親知らずは抜いた方がいいような状態で存在するということが言われています。
(※1)枡富由香子,邉見蓉子,田中結子,枡富健二. 第三大臼歯のエックス線学的形成時期の調査と治療介入時期に関する検討.小児歯科学雑誌 57(1) , 2019, p.71.
親知らずによるリスクが高まるケース
親知らずが周囲の歯や口腔環境に悪影響を及ぼしている場合や、その可能性が高い場合には、抜歯を選択することが一般的です。親知らずのリスクが特に高まるのは、以下のようなケースです。
1.斜め・横向きに生えている場合
親知らずがまっすぐではなく、斜めや横向きに生えていると隣の歯を押し、歯並びが乱れる原因になります。
また、歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなり、虫歯や歯周病の原因になります。
手前の歯の深い位置に虫歯ができるとその歯の神経を取る治療をしたり、ひどい時にはその歯まで抜かないといけなくなることもあります。
2.部分的に歯茎に埋もれている場合
親知らずが完全に生えきらず、歯の一部が歯茎に覆われたままになるケースでは、歯周病や感染症のリスクが高くなります。こうした親知らずは清掃が難しく、汚れがたまりやすいため、炎症が発生しやすくなります。この炎症が進むと痛みや腫れを引き起こし、慢性的なトラブルを抱えることにもなりかねません。
炎症が急性化(症状が急に悪化すること)した場合は顔面が腫れ激痛を伴うことがあります。気道が圧迫されると呼吸困難に陥るリスクがあります。
3. 虫歯や歯周病のリスクが高い場合
親知らずは奥まった位置にあるため、磨き残しが発生しやすくなります。そのため、親知らずやその周囲に虫歯や歯周病が発生するリスクが高くなり、放置すると他の健康な歯にまで影響を与える可能性があります。
親知らずを抜くべきタイミング
親知らずによるリスクを避けるため、どのタイミングで抜歯するかが非常に重要です。抜歯を勧められる一般的なケースとしては、以下が挙げられます。
・痛みや腫れがある場合
親知らずが原因ですでに痛みや腫れなどの症状が繰り返し発生する場合、早期に抜歯を検討する必要があります。炎症が慢性化してしまうと、症状が悪化しやすくなり、最終的に顎の骨や他の歯にまで影響が広がる可能性があるため、早期に抜歯することが予防策として推奨されます。
・将来的なトラブルを防ぐための予防的な抜歯
親知らずがまっすぐ生えている場合でも、清掃が難しく虫歯や歯周病の原因になりやすい場所にある場合には、予防的に抜歯することが望まれることもあります。
この場合は急いで抜歯をする必要はありませんが、症状が出る前に抜歯することをお勧めします。
痛みや炎症がなくても、親知らずの存在自体が将来的に問題になると予測されるケースでは、予防的に抜歯をすることでリスクを回避できることがあります。
・周囲の歯への影響を避けるため
親知らずが真っ直ぐ生えてこず、横向きや斜めに生えている場合、歯並びや咬み合わせが乱れる原因になることがあります。こうしたケースでも急いで抜歯をする必要はありませんが、早期に親知らずを抜歯することで、歯並びの悪化を防ぐことができます。
抜歯の準備と治療計画
親知らずを抜歯する際には、事前の検査や計画が重要です。CTなどのレントゲンで検査を行い、親知らずの位置や周囲の状態を確認します。特に顎の骨や神経との位置関係が重要で、慎重に確認することで、抜歯時に起こる偶発事故のリスクを低減できます。
また、急性症状が出ている場合はそのまま歯を抜いてしまうと症状がさらにひどくなる可能性があるため、抗生剤の使用などで一時的に炎症を抑えてから抜歯処置を行います。
抜歯の難易度
親知らずの抜歯は、生え方や位置によって難易度が大きく異なります。まっすぐに生えていて他の歯と干渉しない場合は比較的容易に抜歯できることが多いですが、歯茎や顎の骨に埋まっていたり、神経に接している場合は、抜歯の難易度が上がります。
斜めや横向きに生えている親知らずは、通常の抜歯のように単純に力をかけるだけでは抜けないため、歯を削って半分に割ったり、骨一部削る必要があることもあります。
また、歯肉に埋まってる場合は歯茎を切開する必要もあります。
神経に近い場合は抜歯処置によって神経が傷ついてしまった場合に麻痺が残る可能性があるため、慎重に処置を行う必要があります。
抜歯後のケアと感染再発防止
親知らずの抜歯後は、腫れや痛みを抑えるために適切なケアが必要です。抜歯後は2~3日間腫れが続くことがありますが、冷やすことで症状を緩和できます。また、歯磨きの際には抜歯した部分を刺激しないようにしながら、適切な口腔衛生を保つことが大切です。
骨を削合したり、歯肉を切開した場合は痛みや腫れの症状が強く出てしまったり、長引くこともあります。
また、内出血が起こると皮膚の下に血が溜まるため、あざのように見える状態が2週間ほど続くこともあります。
抜歯後の感染を防ぐために、抗生物質や痛み止めの処方を行うこともあります。
歯を抜いた部分の穴には血が溜まり、それが時間と共に歯肉や骨となって傷口が塞がって治ります。
歯を抜いた後に激しく口を濯ぎすぎたり、歯ブラシなどを歯を抜いた穴に入れて中の清掃をしようとすると血の塊が取れてしまい、骨が露出してしまうことがあります。
ひどい場合はドライソケットという、骨が剥き出しになったままの状態が続き、骨の表面に口腔内の細菌が付着することで感染を起こす状態となることがあります。
この時は、治療後数日して顔面が腫れる、傷口から膿が出る、強い痛みが長期間続く、食事や飲み物を飲むときに強い痛みを感じるなどの症状が出て、治癒に時間がかかります。
また、傷口が治っていない状態で激しい運動や血流が良くなるようなことをしてしまうと、治療後に出血量が多くなり血が止まらなくなることもあるため、安静にすることをお勧めします。
出血や痛みが長引く場合には、速やかに歯科医師に相談し、適切な処置を受けることが重要です。
当院でのサポートと安心できる治療環境
当院では、親知らずの抜歯に関して豊富な経験を持つ歯科医師が対応し、難しいケースにも柔軟に対応できる体制を整えています。例えば、顎の骨に深く埋まっている親知らずや、神経に近い位置にある親知らずの抜歯も行っています。
術後の経過が良好に進むよう、治療で触る部位をできるだけ最小限にし、細心の注意を払いながら治療にあたっています。
また、麻酔の痛みを軽減するための表面麻酔を取り入れており、患者様ができるだけリラックスして治療を受けられる環境を提供しています。
親知らずの抜歯は麻酔が効きにくいことがあるため、伝達麻酔という骨中にある大きな神経の束にしっかり麻酔をかけることで治療中に痛みが発生しにくくすることも可能です。
術後のケアも重要で、抜歯後の痛みや腫れを抑えるための対策も十分に講じています。
さらに、当院で対応が難しい場合には、兵庫医科大学病院や西宮市立中央病院などの医療連携ネットワークを活用し、より専門的な治療が必要な場合には速やかにご紹介できる体制を整えています。これにより、安心して治療を受けていただけるよう配慮しています。
まとめ
親知らずを抜歯するかどうかは、その生え方や位置、将来的なトラブルの可能性を踏まえて慎重に判断する必要があります。親知らずに痛みや違和感を感じた場合、または将来的なトラブルが予測される場合には、早めに歯科医師に相談することが推奨されます。
親知らずの抜歯について不安や疑問を抱えている方は、ぜひ一度当院にご相談ください。あなたの親知らずの状態を確認し、最適な治療計画を提案させていただきます。
この記事の編集・責任者は歯科医師の岡本大典です。
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